Camel engineering LLP|会社設立|LLP(有限責任事業組合)の設立方法について

   このページは会社の事業形態の一つであるLLP(有限責任事業組合)の設立に必要な
   組合契約書や財産引継書、登記申請書などの書き方と、法人登記申請について
   サンプルを交えて解説いたします。
  

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まずはじめに

   ●以下に関係する公的機関が発行する資料をリンクします。
   経産省「LLPの設立フロー」

   ●会社の登記申請は法務局で間違いや訂正を指摘して頂けますので
    初めての登記でも自分1人で行うことができました。
  

1.組合の命名と名称の調査

   組合の名称は、「○○○有限責任事業組合」または「有限責任事業組合○○○」と
   有限責任事業組合が付くことが必須となります。
   ※商標権や不正競争防止法に接触するため、他組織と誤認する名称は使用できません。
    類似する他LLPが存在しないか確認する場合は、名称の調査を行ってください。

   名称の調査方法
   名称の調査は、事務所の所在地となる予定地を管轄する法務局に行き、
   商号調査簿の閲覧を申請することで行えます。

   会社名・銀行口座に使える文字について
  

2.社印(社印(刻印)/代表印(実印)/銀行印)の作成

   組合名称を決めたら、社印(社印(刻印)/代表印(実印)/銀行印)を作成します。
    ※本来は有限責任事業組合契約書を先に作成し、組合員の総意を得ることが先決ですが、
     組合員の総意が予め取れることが確実で、組合名称と設立が変わらないのであれば
     ここに掲載する順でよいが、組合員が親族でないなど組合名称や設立有無に変更が
     生じる可能性がある場合は、4.の有限責任事業組合契約書を先に作成し、事前に
     組合員の合意を得ておくことをお勧めします。

   ●社印(刻印)
   コーポレート・シールといわれ、法的に効力はありませんが
   見積書や請求書など会社の発行する書類に押印することで
   会社が発行した正式な書類であることを表します。

   ●代表印(実印)
   契約など法的効力のある印(実印)として使用します。
   この印は会社の登記時に印鑑登録を行います。

   ●銀行印
   銀行のお届け印として使用します。
  
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3.組合員の印鑑登録と証明書発行

   各組合員が「実印登録」をしているかを確認し、印鑑登録証明書を取得します。
   未登録の場合は、実印を作り役所で実印登録して証明書を取得ください。
  

4.有限責任事業組合契約書の作成

   組合契約書は、パートナーシップを結ぶ組合員同士が締結する契約書で、
   名称や事業内容、事務所の所在地といった基本的なものから分配金など
   組合の規定について記述したもので、登記の際にも必要となります。

   まずは、この契約書を「組合員となる人数+登記用1部」の数分作成し
   契約者各人が署名・捺印したものをそれぞれが保管します。

   有限責任事業組合契約書の書き方
   組合契約書には、主に以下の内容を記載します。
  
組合の名称
「1.組合の命名と名称の調査」にて決めた組合の名称を記載する。
※すべて全角文字を使用する。
事務所の所在地
組合事務所の住所を記載する。
※マンションなど会社の設置を禁ずる建屋もあるので注意が必要。
事業内容
組合が行う事業内容を記載する。
契約の効力発生日
基本的には組合の登記申請日(予定日)を記載する。
※登記申請は組合契約の締結後、2週間以内に行う必要がある。
組合の存続期間
LLPは必ず存続期間を定める必要があります。
※契約書においては自動延長設定も可能です。
組合の事業年度
個人経営の場合、確定申告にあわせて01月~12月がお勧めです。
組合員の氏名又は名称及び住所
組合員となる個人または法人の名前と住所を全員分記載する。
組合員の出資の目的及びその価額
各組合員が出資する目的(共同事業のためなど)と
出資金額を全員分記載する。
その他、任意の組合員の合意事項
その他の合意事項があれば記載する。
   関連リンク
   法務省「有限責任事業組合契約に関する登記手続(組合契約書雛形)」
   公益財団法人大阪市都市型産業振興センター「産創館(組合契約書雛形)」
  

5.出資金の払込みと支払い証明

   各組合員から出資金を預かります。
   (現金以外にも現物(パソコンや事務用品など)の提供でも可能)

   出資金は、払込み証明のため銀行振込をおすすめします。
   組合名義の銀行口座は設立準備中は開設できないため、
   代表者の銀行口座などを使用し、入金について通帳のコピーをとります。

   払込み証明書の作成
   出資金の払込みについて、払込み証明書を作成します。
   また、現物の提供の場合は財産引継書を作成します。

   テンプレート
   払込み証明書サンプル
   払込み証明書雛形

   財産引継ぎ書サンプル
   財産引継ぎ書雛形
  

6.登記申請書と添付書類の作成

   登記申請書の作成
   法務局に登記申請するための申請書を作成します。

   テンプレート
   登記申請書サンプル
   登記申請書雛形

   添付書類(登記申請書の別紙)の作成
   テキスト・ファイル「{組合名称}・設立.txt」に、下記の内容を記載し
   CD-Rに保存します(登記には、この内容が使用される)。

   (例) ABC有限責任事業組合・設立.txt <<別紙サンプル
  
組合の名称
有限責任事業組合契約書に記載した組合の正式名称
組合の主たる事務所
有限責任事業組合契約書に記載した組合の住所
組合契約の効力が発生する年月日
基本的には申請を行った日
組合の事業
組合が行う事業を記載。
(例)
1 企画・提案・業務コンサルティング事業
2 システムエンジニアリングサービス事業
3 前各号に附帯関連する一切の事業
組合員・清算人に関する事項
組合員の数だけ繰返し記載します。
(例)
「組合員・清算人に関する事項」
「資格」組合員
「住所」大阪府茨木市中村町1-35
「氏名」山田 太郎
「組合員・清算人に関する事項」
「資格」組合員
「住所」京都府京都市上京区荒神口通河原町東入上生洲町197
「氏名」田中 花子
組合の存続期間
有限責任事業組合契約書に記載した組合の存続期間
登記記録に関する事項
「組合契約の効力発生」と記載
   注意事項
   【ファイル形式】
    (1) ファイルはメモ帳などを用いて、Shift_JIS(SJIS)のプレーン・テキストで作成してください。
    (2) ファイル名は「任意.txt」(例)ABC有限責任事業組合・設立.txt

   【文字制限】
    (1) 文字はすべてMicrosoft(R) Windows(R)端末で内容を確認できる全角文字を使用してください。
    (2) タブ(Tab)は使用不可とし、字下げや区切りなどが必要な場合は全角スペースを使用してください。 
    (3) 数式中で使用する分数の横線は「─」(Shift_JIS(SJIS)の0X849F(区点:0801))を使用してください。 

   【CD-R作成時の注意】
    (1) 磁気ディスクにはフォルダを作成せず、直下に作成したテキスト・ファイルを置いてください。
    (2) 1枚の磁気ディスクには、1件の申請に係る登記すべき事項を記録してください。 
    (3) 磁気ディスクには、申請人の氏名(法人は商号又は名称)を記載した書面を貼り付けてください。 

        例)ABC有限責任事業組合・設立
        申請者:山田 太郎

       ※なお、CD-Rを焼く際に設定できるCD名については、特に規定は見つかりませんでした。
        弊社は登記の際に念のためテキスト・ファイルと同じ名前を付けて問題ありませんでした。
  
   関連リンク
   法務省「法人登記申請における登記すべき事項を記録した磁気ディスクの提出について」
   法務省「有限責任事業組合の登記申請書の別紙」
  

7.登記と社印の印鑑登録

   有限責任事業組合契約書を用いて組合契約を締結したら、組合契約の効力発生日から2週間以内に
   管轄の法務局で登記を行います。

   (1) 組合契約書(登記用1部)、登記申請書、添付書類(CD-R)、代表印を持って管轄の法務局に行きます。
   (2) 法務局で登記にかかる費用6万円分の印紙を購入してください。
     ※印紙の消印は法務局が行うので絶対に消印しないでください。
   (3) 法務局の法人登記の受付窓口で「有限責任事業組合の登記」を伝え、書類を提出します。
   (4) 申請書類に問題がなければ1~2週間程度で登記が完了します。
     なお、不備や訂正があれば付箋などで指摘事項をつけられ返却されるので、修正して再提出します。
  

8.登記簿謄本と印鑑証明の取得

   登記が完了したら、銀行の口座開設のため登記簿謄本を1通取得します。
  

9.銀行口座の開設

   登記簿謄本と組合の銀行お届け印を持って銀行窓口に行き、組合名義の口座を開設します。

   会社設立で最も苦労するのが、銀行の口座開設です。
   行政の指導により法人の口座開設は普通口座でも「取引実績」が求められることがあります。
   しかし、会社設立時には取引実績がまだないことが多いため、登記簿謄本や賃貸契約、
   公共料金の支払い証明などの代わりとなる書類の提出が必要となることがあります。
   また、特にLLPについて、あまり知られていないため銀行や銀行の窓口担当者によっては、
   口座開設を断られることがあるのが難点です。

   2012年時に弊社が体験した口座開設の銀行の対応について、参考までに記載いたします。
   ●みずほ銀行・・・・有限責任事業組合に関する口座開設の規定がないため口座開設できないとの回答。
   ●三井住友銀行・・・個人が個人名以外の口座開設はできないとの回答。
             ⇒その後、有限責任事業組合について説明し銀行が法務局へ確認の電話。
             ⇒確認後、有限責任事業組合は会社ではない(と勘違い)により口座開設を断られる。
             ⇒さらに、勘違いの旨を説明し銀行が法務局へ再度確認の電話。
             ⇒時間はかかりましたが口座開設できました。
  

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